2013/01/24

MIT Media Lab @Tokyo 2013



こんばんは、COGOOの加藤です。

さてさて、先週の金曜日、土曜日で、MIT Media Lab @Tokyo 2013に行ってきました。

テーマはBrain & Borgで、1日目は主に講演、2日目はunconference(何人かが挙げたテーマに対して興味がある人がディスカッションに参加し提案する)、の形式で進みました。

あまりにコンテンツが盛りだくさんだったので書きたい事は沢山あるのですが、、、
最も心に残った、新しいものをどう生み出していくか?に関わるさまざまなお話を紹介したいと思います。

1.Media lab流 or IDEO流??
2日目のunconferenceの前に、Media Labの所長のJoiさんとIDEOのcolinさんのセッションがありました。その中で、Media LabとIDEOがコラボレーションをし、デトロイトの問題解決に当たった話が出てきたのですが、Joiさん曰く「IDEOの人達はデザイン思考を使って問題をきれいに整理する。一方でMedia Labの人達はポストイットなんてもういい。作っちゃえ。となったのが面白かった。」とのこと。

デザイン思考もrapid prototypingの考え方を実践していますが、Media Labはとにかく分析よりも実践に振れている、というイメージを持ちました。この違いは、IDEOはコンサルティング会社、Media Labは研究所でより作ることを重視しているからこそ生まれるのかもしれません。


どちらがいいという事ではなくそれぞれのやり方があるんだと思います。重要なのは、思考法はあくまで思考法であると認識し、自分の頭で考え、やり方を見つけるということでしょうか。

2.批判の重要性
unconferenceの後の懇親会で、副所長の石井さんの研究室に半年間留学していた笠原さんとお話をさせて頂きました。

石井さんの研究室ではとにかくWhy so? So what?を浴びせられ、アイデアをどんどん突っ込まれるそう。一緒にアイデアを膨らませていくというよりは、アイデアの核となる要素を見つけるべく、とにかく突っ込み批判しまくる。そして、学生はアイデアを批判されて喜ぶ。とのこと。

ブレーンストーミングをする時にアイデアを否定・批判をしてはいけない。と言われたことありませんか??

ぼくもアイデアを膨らませる時は確かに否定・批判をせずにとにかく出した方が良いと思います。COGOOを作る時においても、とにかくアイデアを出しまくる日や時間を設けることがあります。

ただ、石井研究室の話にもあるように、膨らんだアイデアを研鑽していく時は、叩きまくることがものすごく重要だと思います。批判されると落ち込み、やる気もなくなるかもしれません。でもそれらはアイデアをよくするためのポジティブな試みであり、批判を奨励し受け入れる文化がないと新しいよいものは生まれないと思います。どのみちあたらしいものを誰か知らない人に提案する時は、これでもかっていうくらい批判されるし、仲間内や自分で批判をして早く穴や脇の甘さに気がついた方が全然ラッキーな気がします♪

3.人気が集まるアイデアは素晴らしいアイデア??
ブレーンストーミングなどの際に人気が集まるアイデアは、素晴らしいアイデアというよりは、皆が出しやすいまたはイメージしやすいアイデアであることが多いという話も出ました。そこにアイデアの核は隠れていないことも多いのだとか。これトヨタのデザインプロセス変更の話と似ている。人気が集まるからいいアイデアでは全然なく、アイデア決定に多数決はないのと同じ話ですよね。

4.実装力がなによりも重要
実装力については、Safecastという福島の放射線を測定しているボランティア団体のunconferenceに参加した時に改めて感じたことです。この団体は、3月11日の地震が起きた後1週間で放射線を測定する機器の1stバージョンを作ったそうです。ソフトならまだしもハードをそんな短時間で作ってしまうとは。それから2週間毎に新しいバージョンにしていき、3ヶ月に1回アイデアの革新を起こしたそうです。このスピードでプロトタイプをブラッシュアップしたからこそ、最高に実用的なものが出来、現在は500万カ所以上から放射線データを集めているとのこと。ちなみに仕様書などは全てオープンにしている。これらのラピッドプロトタイピングは実装力があるからこそ出来ることですね。



2日間を通じて再度認識したことは、結局あたらしいものを作るためには魔法の杖は無く、昔から何も方法論は変わっていないのだと感じました。作りたい強い気持ちと実現できるだけの技量が重要なのだと思います。ただ、それを持っている人にはイノベーションコストや試作品コストが安くなっていてより色々なことに挑戦出来る世の中になっている気がしています。

また来年も参加出来たらと思います。